Lesson1-2 待機児童問題とベビーシッター

待機児童問題とは?

Introductionでも触れましたが、保育所に入所できない子どもたちのことを待機児童と呼びます。この待機児童がほんのわずかであれば個別に保育サービスをあてがうことで解消を図れるのですが、残念ながら待機児童数は毎年2万人を超えています。これを待機児童問題といい、現代日本が解決すべき重要な問題の1つとして数えられています。

待機児童の定義は「認可保育所に入所を申請したものの入れなかった人数」で、1990年代には毎年3万人以上の児童が待機児童として認定されていました。2001年に新定義「旧定義から、自治体が独自に助成する認可外保育施設を利用しながら待機している児童らを除いてよい」に切り替わったことで見た目の数自体は2万人まで減少しましたが、問題の根本的な解決には至っていません。

しかし、最初に述べたとおり都市への人口流入や土地問題、女性の社会進出や核家族化など様々な問題が絡まり、保育所の増設は難しい状況です。厚生労働省は認可保育所を除く外部サービスの支援充実を図っていますが、やはり適切な保育環境にある児童はなかなか多くないようです。2016年には「保育園に落ちたの私だ」というスローガンを掲げて国会前で抗議運動が行われましたが、これは氷山の一角に過ぎません。

幼少期に適切な保育サービスを受けられない子どもが万単位で存在する。待機児童問題は実に痛ましく、真剣に向き合うべきことなのです。

ベビーシッターは待機児童問題に対する有効打?

逆にいえば、この状況はベビーシッターのような民間保育サービスが活躍できる下地が整っているとも言えます。一般的には「買い物や食事に出かけるとき、一時的に子どもの面倒を見てもらう」というのがベビーシッターのイメージなのかもしれませんが、現代のベビーシッターはもっと広範囲に保育サービスを提供しています。

例として、ベビーシッターサービスを頼むシーンを列挙してみましょう。

  • 病気や事故などの緊急事態が起きたとき
  • 子育ての最中に休息をとりたいとき
  • 産後の母親に手伝いが必要なとき(産後ケア
  • 子どもが病気になったとき
  • 保育施設への送迎のヘルプ
  • 小学生を一人で留守番させるのが不安なとき
  • 冠婚葬祭やパーティーのお手伝い

仕事の実態としてはかなり広い範囲をカバーしていることがお分かりいただけるでしょう。たとえば、子どもが病気のときには看病をする必要がありますし、産後ケアでは家事手伝いも代行します。冠婚葬祭やパーティーに呼ばれたときは、半ば家族の一員としての振る舞いを求められるでしょう。いうなればベビーシッターは家庭における便利屋さんなのです。

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子どもを保育所に入れたいけど入れられない、あるいは保育所とはまた別の適切な保育サービスを求めている両親にとっては、とてもありがたいものです。家庭内に他人を招き入れるデメリットはありますが、保育所や幼稚園と違って在宅での保育となるので、知らない人に囲まれる必要もなく、とても安心できる環境で子どもの面倒を見ることができます。

また、ベビーシッターには預かる子どもの年齢に関する制限がありません(会社によっては規定を設けているところもあるでしょう)。ベビーシッター側の都合がつき、乳幼児の世話に関する確かな知識を有していれば、0歳児の面倒だって見れてしまいます。全てはクライアントたる両親との交渉次第ですが、ベビーシッターは待機児童問題への対策としても、実際の労働としてみても、自由度が高くかゆいところに手の届く仕事であると言えましょう。