小学生はまだまだ子ども、とはいえ乳幼児のように幼いわけではありません。ベビーシッターとして小学生を預かるなら、きちんと小学生にあわせたお世話をする必要があります。さっそく保育のポイントを見ていきましょう。
保育のポイント
乳幼児期ほどではないにせよ、小学生の成長も速いものです。小学校の6年間で子どもの背丈がどれほど伸びるかはみなさんご存知でしょう。一年の成長量も大きく、4月生まれと3月生まれでは同じ学年でも成長具合に差が出るほどです。
入学したことによる人間関係の多様化、年上の人間と触れることで受ける刺激により、精神的には大きく発達を遂げます。それまで家庭と保育園・幼稚園などを中心とする世界だったのが、小学校入学と同時に一気に広がっていくのですから、その影響はとても大きなものだと考えましょう。
小学校低学年
入学から3年生ごろまでの傾向として、身体的特徴、スポーツなどの上手い下手、好き嫌いを気にするようになります。同学年の子どもたちとたくさん触れ合うことで、自分と他人との差異が気になってくるのですね。ですから、世話をする際は他人との差を考慮して、1人1人の子どもにあわせたケアをしなければなりません。
内面的な成長も顕著です。学校生活を通じて褒められること、認められることも増え、自尊心が育ちます。また、この頃はまだ幼児期の直感的な思考が残っていますが、論理的・合理的な教育に触れることで、次第に論理性が備わっていくのも特徴として挙げられるでしょう。
お世話のポイントとしては、小学校入学という環境の変化から精神的な疲労が溜まりやすくなっており、その分の反動として甘えさせてくれる他人を求めています。子どもにとって信頼のおける大人になり、精一杯甘えさせ、リラックスしてもらうのは、シッターにとって大事なことです。
話相手になるにもコツがあります。子どもが学校で起きたことを話すときは、きちんと耳を傾けて聞き役に徹しましょう。起きたことをそのまま報告しているとは捉えず、その裏に何らかの欲求が潜んでないかよく考えましょう。
小学校高学年
小学校高学年になるとまた少し事情が変わってきます。
まず、体つきも精神も次第に大人っぽくなります。成長の速さでは女の子が勝っており、平均身長は男の子より上になります。早い子であれば二次性徴が始まり、体つきが丸みを帯びたり皮下脂肪がついたりします。それとは逆に、男の子は背こそさほど高くはありませんが、全体的に筋肉が発達していきます。
男の子の射精(精通)、女の子の月経(初潮)は大人になる準備であると同時に、子どもを作る能力が備わったことを意味します。思春期を迎えた子どもたちには性教育の授業が待っていますが、もちろんしっかりした性教育は家庭でも行わなければなりません。いざというときのために備えておきましょう。
小学校入学したてのころとは違って、内面的にはかなり複雑になっています。傾向としては大人の介入を避け、身近な友達をより大事にするようになります。そのためこの時期の子どもたちは、大切な友人を傷つけるようなことを言う大人に対して非常に敏感です。
子どもと対話するときは、けっして感情的になってはいけません。もし何か悪いことがあったとしても、1つ1つの事実を確認するように問いただし、きちんと事情が分かるまで説明を求めます。頭ごなしに叱りつけるのは感情を損ねるだけの悪手と考えましょう。
子どもの方も、怒りや恐れなどの感情を体を使って直接的に表現するのではなく、間接的・抽象的に言葉で表現しようとします。ですが、まだまだ言語能力は完璧とはほど遠いので、しっかりと言葉の底にある含意を拾っていかなければなりません。
もし子どもが失敗したり不安がっていたとしても、これまでのようにすぐに手を差し伸べるのは良いことばかりではありません。見守るような態度で不必要な干渉を避けつつ、子どもの自主性に任せます。この時期の養育者に求められることは、適切なタイミングで適切な助言をすることなのです。