Lesson16-3 6歳児の社会性

卒業と入学

ほとんどの子どもは保育施設を卒業し、小学校に入学することになります。そのための前準備としてやらなければならないことはいくつもありますが、手続きのみならず、心の準備やケアも大事なことです。

環境が変わってしまうことで、今までの友達と離れ離れになる可能性が出ます。保育所や幼稚園に通っていた子どもたちなら、学年が上がるたびにクラス替えは経験していたことでしょう。けれど本格的に離れ離れになるかもしれない、という経験は今回が初めてになるかもしれません。子どものナイーヴで傷つきやすい心をしっかりケアしてあげましょう。

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小学校入学のために必要な準備はもちろんそれだけではありません。たとえば、45分間遊ぶor勉強に準ずることをしてから10分間休むというサイクルを身につけさせておくのはとても大事です。6歳の子どもなら時間の流れはきちんと把握できるようになっていると思われますから、生活のサイクルを切り替えてあげれば、少なくとも時間の面ではスムーズに学校生活に没入できます。

所持品に名前を書くのも大事です。自分たちで用意するだけでなく、学校で配られたものにも名前を書くことが多々ありますので、その場その場で自分の名前を書くという習慣付けが大事です。

その他にも「与えられた課題をこなす」「指示を守る」「当番活動を行う」といった行動を積み重ねて、自信と責任感を持たせるというのも大事です。よくない命令だとか、悪い要求だと思ったら、それを跳ね除けるだけの正義感勇気も必要です。

小学校で上手くやっていく上で大事なことはいくつもありますが、単に協調性を伸ばすだけでは他人の顔色を見ながら世間を渡っていく子になってしまう可能性もあることを考慮しておきましょう。

これらの課題を考慮して、ベビーシッターがやるべきことをまとめると次のようになります。

  • 他の子供たちとの別れを飲み込めるようケアをする
  • 時間の流れや数を意識できるように指導する
  • 自分の所持品に名前を書けるように指導する
  • 指示やいいつけを守り、責任感のある行動が取れるように教え諭す
  • 正しいと思える行動を取り、善し悪しを断ずる心を育てる

ここまで徹底すれば、きっとスムーズに小学生としてデビューできるでしょう。

社会的なルールの理解

「この子はきちんと社会のルールを守って行動できるだろうか?」

おそらく、ベビーシッターが直面しやすい問題だと思います。もし社会のルールを守れない子どもであればしつけをしなければなりませんし、どの程度きちんとルールを守れるか把握しておかなければクライアントへの報告もままなりません。

社会のルールといっても基準はかなり曖昧なものになりますが、たとえばお店屋さんであれば以下のような行動が取れればおおむね守れていると判断してよいでしょう。

  • むやみに騒がない
  • 店内を走り回らない
  • エスカレータ等を逆走しない
  • 親(保護者)のそばを勝手に離れない
  • 陳列棚の商品を壊したり汚したりしない
  • 買いたいものがあればレジに持っていってお金を払う

バスや電車などは「移動中は静かにする」といったところでしょうか。乗り方に関しては公共交通機関の発達具合や小学校への電車登校の有無などによっても異なってきますが、将来的なことを考えると入学前に教えておく方が良いかもしれません。

電車やバスが毎日時刻表どおりに運行していること、運賃表の見方支払い方、切符の買い方、改札の通り方など、何度か根気良く教えていくうちに飲み込んでくれるようになります。

お買い物や電車・バスの乗り方だけではなく、この時期に理解しておくべきルールはたくさんあるのです。

  • あいさつ(初対面の人、知り合いを問わず)
  • 交通ルール(横断歩道信号機、踏み切り、交通整理)
  • 食事のルール(お手伝いや後片付け、いただきますとごちそうさま)
  • 公共の場のマナー
  • パーティーや法事に呼ばれたときの振舞い方

これらの中には6歳になるまでに習得しているものも多々あるでしょうが、全て理解しているなんてことはそうそうありません。まだできていない部分があるなら、お世話をするものとして、足りていない部分を補えるようにきちんとフォローしてあげる必要があるでしょう。