遊びの広がり
6歳児は肉体的にも精神的にも複雑さを増していく時期ですので、遊び方や運動の楽しみ方もそれに相応しいものになります。
屋外での1人遊び
跳び箱や竹馬などの複雑な遊びを普通の子も楽しむようになります。といっても跳び箱は小学生が使うような5段も6段もあるようなものではなく、せいぜい高さ30cm程度のものです。しかし、
- 跳び箱までの距離を正確に測って走りこむ力
- 引っかからずに跳べるだけの充分なジャンプ力
- 手を両足の前にタイミングよく持っていくリズム感
など様々な能力が要求されるため、けっして簡単ではありません。
竹馬も個人の上手い下手はありますが、一度乗れるようになれば、バランス感覚を養うという副産物が得られる遊びに化けます。竹馬に乗れずに諦めてしまう子も多いのですが、得意な子はどんどん竹馬の練習を重ねていくので、きわめて優れたバランス感覚を獲得します。
こうした遊具(体操器具)を使った難易度の高い遊びが先生や親兄弟ではなく、同年齢の子どもたちからもたらされるのは、見ていて大変微笑ましいものです。
友達と一緒に遊ぶ場合
しかし外での遊びといえば、メインとなるのはやはりみんなで協力するものでしょうか。
6歳になるとサッカーやドッジボール、ミニバスケットボールなどの球技が一通り可能になります。もちろん集団の中には運動の苦手な子やボールを怖がる子もいるでしょうから、「顔に当てるのはだめ」(ドッジボール)のようなルールをそのつど設けることになります。
6歳児には相手に配慮できるだけの仲間意識もありますし、ルールを臨機応変に変更しながら遊んでいくのも苦ではありません。
なお、相手がいない場合は壁に向かってボールを蹴って跳ね返ってきたものをまた蹴って、といった具合にテニスの壁打ちのように遊んだりしますが、それも想像力を鍛える一助となりますし、やめさせるようなことではありません。
室内型の集団遊び
保育所などの育児施設で集団遊びを行う際は、5歳の頃に学んだ遊び方にちょっとだけ手を加える感じになるでしょうか。百人一首などのカルタもそうですが、劇だってその遊びとしての本質は5歳のころと変わるわけではありません。
しかし、6歳の想像力は、遊びとしての質も向上させてしまいます。活字に親しむ機会の増えた子どもの劇は、ストーリー性に富んでおり、物語のイメージをどのように言葉と体で表現するか、というところに重点が置かれるようになります。
子どもたち自身の主体性も充分に備わってきているため、ちゃんとやる気になっているなら、養育者は足りない材料を補ったりアイデアを提案したりするくらいのサポートで充分なのです。
そうは言っても、劇はやはり保育所や幼稚園でやるもので、あまり個々人の家庭で実践することはないかもしれません。この時期の「ルール性があり」「屋内で一緒に楽しめる」遊びの代表格と言えば、やはりトランプでしょう。「ばばぬき」「神経衰弱」「七並べ」など、様々な遊びを楽しみましょう。
屋内にて1人で遊ぶ子どもたち
今の子どもたちの1人遊びといえば、やはり主流はテレビゲームやスマホゲームになるでしょうか。
ゲーム自体はとても想像力に富んだものであり、プレイングを通して試行錯誤したりストーリーに感動したりと、子どもにとっても大変益の多いものですが、あまりにも面白くて何時間も集中してしまいかねないため、視力の低下や姿勢の悪化に注意が必要です。
もちろん、ゲームばかりを好んでする子どもたちばかりではありません。引き続き人形遊びに興じる子もいますし、器用になった手先で積み木遊びや工作を更に発展させる子もいます。
普段捨てているもので簡単な工作をしてみたり、逆に本格的なキットを買って何日もかけて組み立ててみるのも、子どもにとってはいい刺激になります。積み木遊びにしても、様々な形や色のものを綺麗に組み合わせて塔のような複雑な構造物を作るなど、新たな領域にチャレンジすることになるでしょう。
よりクリエイティブな構造物について知識を蓄え、こんなのもあるんだよと写真で紹介してみたりすると、子どもたちにとっては大変いい刺激になるでしょう。いざというときに備え、ベビーシッターはクリエイティブなものにも関心を持つべきなのです。