6歳児の発達と成長のポイント
保育所や幼稚園などの育児施設を卒業し、小学校へ入学するころです。身体の発達傾向は5歳児のころと比べてあまり差異がなく、それまでの傾向を引き継いでいると言えるでしょう。
一方、思考力や認識力は成長著しく、文化・社会への関心が高まり、周囲に「大人っぽくなった」という印象を抱かせます。
発達の細々とした特徴を見ていきましょう。
身体的な発達
小学校入学前後の体と感覚器官について
身長は背の高い子なら120cmを超えるほどになります。成長ホルモンの分泌が充分であれば、きちんと背丈も伸びておよそ6頭身になるころあいです。体重は平均して20kg前後と、平均的な大人の1/3程度にまで成長します。
脳の重量は一般的に1300gほどになり、これは大人の脳重量のおよそ90%です。中枢神経系の成熟も進み、感覚器官もぐっと成長します。中でも視覚は成人に近い能力を獲得し、色や音などへの感受性がより鋭敏になりますし、嗅覚にいたっては6歳でピークに到達すると言われています。
体内の器官や骨の話をすると、手首のあたりにある手根骨が6個になり、5歳のころよりさらに複雑な手の動きが可能になります。筋肉もだいぶ成長しており、背筋力は20kg、握力は10kgを超えますので、腕を使って重いものを持ち上げたりすることも可能になるわけですね。
6歳臼歯の問題
歯も生え変わる時期になり、これから何年もかけて乳歯が永久歯に変わっていきます。ただし、子どもの歯と大人の歯の本数が違うことからご存知の方も多いでしょうが、乳歯が存在しない場所から生える永久歯も当然あります。特に有名なのは6歳臼歯といわれるもので、これは口の一番奥の歯茎を突き破って生えてくる第一大臼歯のことです。
6歳臼歯が生えてくるときは、汚れが原因で歯茎に痛みが走ったり、噛み合う歯に当たって痛みが出たり、他の歯に引っかかったりと様々な問題を引き起こします。もし子どもが痛みを訴えだしたら、すぐに歯医者に診てもらうようにしましょう。対策として噛み合わせを直したり、虫歯予防のコーティングをすることもあります。
精神的な発達と社会性の向上
空間認識と言語能力の結合
5歳のころから中間的なあいまいなものを概念として理解できるようになっていますが、6歳ではその空間的な認識能力がさらに向上します。説明能力も向上するため、2つ並んだオブジェクトを比較して細かに違いを説明したりできますし、「砂糖と塩」などの語彙を同じカテゴリに含めつつ細かな違いを捉え始めます。反対語が理解できるのもこのころのことです。
重さや数量を把握し、「個」や「匹」などの数え方の単位を理解できるようになるのもこの時期です。カレンダーや時計も読めるようになり、○時○分といった時間を意識する練習を繰り返すことで時間の概念を強固なものにしていきます。
身近な場所にいない知り合いに対して手紙を書くことも可能になります。もちろん小学校入学前後のことですから、文字に関しては怪しい部分、たどたどしい部分もあるでしょうが、絵本や広告など身近なところにある「文字」にも次第に意識を向けるようになります。この時期では絵本や児童書に興味を持ち、少しずつですが本も読めるようになります。
対人関係と他人に対する理解
物事や人間に対して、多面的な理解も可能になっていきます。他人に対しても自分に対しても、「わたしは○○です」といった一つの事象だけでなく、「わたしは○○で、年齢は6歳で、性別は男で、好きなことは……」といった様々な側面について語れるようになります。
公共の場でのマナー意識、遊びの中でのルールの把握、友人関係における配慮など、小学校のような集団生活の場で暮らしていくに充分な社会性を獲得する。それが6歳児です。