反抗的な5歳児
5歳児の特徴として挙げられがちなのが「協調性」ですが、実を言うとこの時期は親の言うことに反対しがちな時期でもあります。2歳ごろの第一次反抗期(イヤイヤ期)、思春期の第二次反抗期の中間にあるため、この5歳から小学校低学年ごろに芽生える対立や拒絶の傾向を「中間反抗期」と呼びます。
身の回りのことが一通りできるようになった結果として、自立心が芽生えるのが原因と考えられています。親・養育者の言うことを跳ねのけたり、言いつけと反対のことをしたりと、自分で決定できることをアピールしようとしています。口答えのための言語能力も発達していますしね。
5歳の段階ではそこまで顕著ではありませんが、もしこのような反抗期に悩まされても、いきなり怒鳴るのではなくきちんと理由をつけて説明してあげましょう。説明のない叱責は単なる理不尽な暴力に過ぎず、理不尽な暴力ほど信頼を損なうものもありません。
子どもの良いところを積極的に褒め、抱きしめたり優しい言葉をかけたりして不安を取り除き、信頼感を獲得しましょう。子どもの姿を正しく見据えることで、次第に反抗的な態度もなりを潜めるようになります。
社会的な協調性
保育園などに通う子どもは、数人単位でグループを形成して当番で何かを行います。給食の出る場所なら食事当番があるでしょうし、鶏などを飼っている場合は飼育当番なども考えられます。
リーダーシップの取れる子、指示された役割を果たす子などに分化していき、協調性や他者への気遣いが育まれます。もちろん遊びにおいてもその傾向は顕著で、みんなで一緒に歌を歌ったりするときに、タイミングのズレや歌詞の間違いを指摘し、良かったところは良かったとお互いに褒めあう子が出てきます。
また、帰りの会などで人の話を聞く、全体に向けて発表するなど、集団行動の基礎的な部分が次第にできあがってくるのが分かります。保育所や幼稚園に送り迎えをすることもあるでしょうが、人の話をちゃんと聞いているか、そわそわせずに集中していられるかといったことをきちんと聞いておくと良いでしょう。
習い事の時期
クライアントが熱心なご両親であった場合、2歳、3歳ごろからピアノやバレエのレッスンを始めさせていることがあります。世の中の親御さんのほとんどはそこまで英才教育を施すことに熱心なわけではありませんが、5歳くらいになれば結構な確率で習い事に通わせているものです。
絶対音感の関係でこの時期からピアノなど音楽のレッスンを始めさせる人は少ないでしょうが、英会話やスイミング、そろばん、書道、スポーツなど、選択肢はたくさんあります。
ベビーシッターとしては送り迎えさえできれば習い事の内容に立ち入ることもないでしょうが、習い事関係で悩みを抱えているようであれば、きちんとその深い部分まで聞き入れてあげましょう。もし自分のスキルで助けになるようであれば、子どもにちょっとした助言をしてあげるのもいいかもしれません。
個人的な問題
食事や排泄、手洗いうがいなどの基本的なことは一通りできるようになっています。そのため、この時期の子どもは大人に指示されなくとも自分のことを自分でやる気概にあふれていますが、まだ完璧にできるわけではありませんので、ベビーシッターのさりげない援助も必要です。自尊心を傷つけないように、ひそかにサポートしてあげるのが良いでしょう。
また、そろそろ羞恥心の問題とも直面します。羞恥心というものはとても個人的なものですが、恥部を顕にするのは社会的な問題に発展する場合がありますので、きちんとプライベートゾーン(自分の体の大事な部分≒水着で隠れる部分)を自分で守るよう意識させてあげることが大事です。
トイレ、着替え、水泳などのときに、そういう場所をあまり人前にさらさないこと、誰かに触れられそうになったらきちんと断ることなどを教えてあげましょう。