Lesson15-1 5歳児の成長と発達

キーワードは協調性

身の回りのことが1人でできるようになり、運動神経や言語能力は4歳のころから引き続き伸び続けます。この年頃のキーワードは協調性で、身辺自立の確立と仲間意識の芽生えが、他者を認め合い許しあう心の成長を促進します。

身体的機能

引き続き成長が続く時期

身長は110cm前後、体重は20kg弱になります。体の発達に関しては3歳児、4歳児の特徴をそのまま引き継いでいるようなもので、全体的に大きくなると思えばよいでしょう。特徴と言えるのは、経験や学習をきっかけに脳のニューロン回路網が形成されることくらいでしょう。

脳神経の成熟によりバランス感覚がさらに発達します。これは5歳前半頃から竹馬に乗れたり、体操の動きがある程度できるようになることの裏づけといえます。また、爪先立ち片足立ちなど、不安定な姿勢を制御しようとする意思も出てきますので、転ばないように注意して見ておく必要があるでしょう。

夢中になるのは事故の元

また、この時期から子どもは三輪をこいでスピード感を味わうようになります。夢中になると回りのものが目に入らず、事故に遭う・他の子供を怪我させてしまうといった事態が起こり得ますので、充分に注意しましょう。

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4歳の頃からハサミや箸の使い方を練習していたなら、指先も相当器用になっているかと思います。紐を結ぶ雑巾を絞るなどの細かい動作が可能になり、大人がきちんと指示を出せば工具類も使えるようになります。

ただ、一度使い方を覚えても、注意散漫になってしまうと事故は起こります。道具を丁寧に扱うこと、危険な使い方をすれば大怪我することなど、忘れやすい子どもには毎回注意してあげてください。

心・言語・社会性の発達

空間的・中間的な想像力

4歳児のころから、早い子はすでに2000語以上の語彙を操れるようになりますが、認識力が発達することで更に深い思考が可能になります。たとえば、20以下の数や数字の増減(±1)が理解できるようになり、物事をある程度空間的に把握できるようになります。

「空間的に把握する」とは、二次元的な把握から脱却することであり、「好きと嫌い」「はじめと終わり」のような「1か0か」という考え方ではなく、その中間を想定できるようになるということです。たとえば「普通」「まあまあ」「現在」「真ん中」のような中間的なものを想像できるようになるのです。

空間的な把握能力は感覚においても見出されます。たとえば子どもが○を描くとき、円の大きさは「大きい」「小さい」の2通りしかなかったのに、中くらいの円も描くようになる、といった感じです。

これができるようになれば、簡単な道順とその中間にある目印を記した地図も描けるようになりますし、積み木も階段のように高さを調整できるようになります。人物を前や後ろからだけではなく横向きの姿で描けるようになるのもこのころの特徴です。

思いやる心の発達

社会性を見てみましょう。この時期の子どもの特徴は協調性である、と最初に書きましたが、その前提となる自我の発達や自己認識はかなり高いレベルにまで発達しています。

  • 泣きたい気持ちを我慢する自己抑制
  • 弱い子どもの面倒を見る慈愛奉仕の心
  • 愛想を良くするなどのサービス精神

身の回りのことが出来るようになり、言語能力の発達により自分の考えをきちんと伝えられるようになると、他人と協力したり相手のことを慮ったりできるようになるわけですね。

子どもの世界はだんだん複雑になってきます。自宅と保育所・幼稚園のような2つの世界だけでなく、一部の好きな友達だけでグループを作ったり、友達グループを二分して別々のルールで遊ぶといった一時的な処置にも対応できるようになります。

将来の夢

将来のことを考え出すのもこのころです。まだ明確にとはいえませんが、時の流れを理解できるようになり、現在の自分、大人になった自分のことを想像できるようになります。

ここまで来れば、子どもは将来の夢について問われたときに、「現在の」自分が何をすれば夢を叶えられるのかと考えるようになります。ベビーシッターとしてしてあげることは、子供の夢を広げるために様々なことを体験させてあげること、夢を叶えるための知識をそれとなく教えてあげることです。