4歳児の発達の特徴は、全身のバランスと心のコントロールができるようになることです。これを踏まえて細かい特徴を見ていきましょう。
身体的な発達
体の使い方が上手くなる時期
何と言ってもバランス感覚の発達が顕著です。前回のLessonで学んだように、子どもは3歳ごろから木登りやケンケンができるようになるものですが、4歳になると片足跳びやスキップなどの高度なバランス感覚を要求される動きが可能になります。子ども用のランニングバイクからの卒業記念に、補助輪つきの16インチほどの自転車を買ってあげるご両親も少なくありません。
指先の動きもとても器用になります。両手を交互に開閉する、左右の手で別々の動きをしながら一つの道具を使う、描線やモデルを見ながら鉛筆で絵を描くなどの動作が3歳ごろよりずっとスムーズになります。
箸の使い方の練習も本格的なものになりますので、食事を箸一本で済ませる日もそう遠くはありません。箸を使う動きにつなげるために、ピンセットを利用して「豆をつまんで移動させる」とか、実際に箸の正しい持ち方を練習させてみるとか、色々と工夫してみましょう。ちなみに、利き手が決まるのもこの頃です。
肉体と感覚器官の特徴
肉体的な面を見ると、身長は1mを越え、体重も20kg弱まで成長します。手はまだ成人に及びませんが、足根骨は成人と同じ9個になるので、足を使う運動は以前より更に巧みになります。
感覚器官の成長も著しく、まず視力は1.0前後となり遠近の区別がつけられるようになります。聴力は単純に高まり、嗅覚や味覚はこれまで以上の繊細さで対象を分類できるようになります。
精神的な発達
語彙の発達とうその始まり
4歳児ともなると、最終的にはなんと2000語近い語彙を覚えます。
2000語といえば日本語能力試験の初級程度の能力です。日常会話と簡単な文章の読み書きができる目安の数字ですので、4歳児は基礎的な日常会話が可能な語彙力を持っていると考えてよいでしょう。ただし、汚い言葉や乱暴な言葉をさかんに使うのもこの頃で、しつけをする上ではてこずるかもしれません。
3歳に引き続き、自我や社会性が発達します。想像力も広がりを持ち、実際に体験した事のみならず本で読んだことや見聞きしたことと自分の体験を重ね合わせます。そうして自分なりの物語を作ったり、誰かに自慢げに話して返事をもらおうとするようになります。
一つ面白いことがあって、空想を現実と取り違えたり、うそを平気で話すようになるのもこの時期からなのです。子どもがいたずらをしたときにそれを厳しく叱ったりするとうそでごまかそうとしますが、そういうときはしばらく様子を見て対応を考えると良いでしょう。
葛藤と感情のゆれ
3歳の頃から引き続き葛藤していますが、自己抑制が成長するため自分の要求を引っ込めて相手を尊重する、という態度が見られるようになります。一方で競争心から喧嘩に発展するのもこの時期で、良きにつけ悪しきにつけ、他者との関わりは以前より深くなります。
感情の動きはさらに激しくなり、理性的に言い聞かせれば理解し納得してくれるのですが、それでも癇癪を起こしたり泣き出したりといった行動が増えてきます。もし甘えたいそぶりを見せたら、ちゃんと受け入れてあげましょう。