Lesson13-1 3歳児の特徴と発達

3歳児の特徴

3歳児は食事排泄衣類の着脱がほぼ自分でできるようになり、2歳児のころと違ってあまり「イヤイヤ」で養育者の手を煩わせたりはしません。2歳児とあまり変わらないように見えるかもしれませんが、次第に自立心が芽生えてくる時期です。

ベビーシッターは2歳のころと同様に、子どもの自立を影ながらサポートするように立ち回るとよいでしょう。放任するのではなく、かゆいところに手が届くようにしっかり観察し、折を見て手助けをしてあげてください。

3歳児の身体の発達

肉体的な特徴

基礎的な運動能力が育ち、身体のバランスが次第に取れてくるようになります。2歳児のころから歩く・走るなどの動作はできていたと思いますが、3歳児ではそれらの機能が更に発達します。

身長はおよそ1メートル弱、体重は13~16kg程度で推移しますが、このときすでに脳の重量は1100gほどと成人のおよそ8割の重量に到達しています。心臓を中心とする内蔵の器官も大きくなり、脳下垂体から分泌される成長ホルモンの働きによって骨や筋肉の更なる成長・促進が行われます。この時期に充分な栄養を取り、しっかり無理なく運動するのは、発育を考える上でとても大事です。

バランス感覚の発達

中枢神経系や大脳皮質の発達により姿勢の制御ができるようになり、細かい運動機能の制御が巧みになっていきます。全身運動としてはケンケンなどができるようになり、三輪車も次第に乗りこなせるようになります。

この頃の歩行の進歩の特徴としては、他にも「爪先立ち」や「後ろ向きに歩く」などが挙げられるでしょうか。30cmほどの高さの場所から飛び降りたり、階段も足を交互に出して上れるようになったりと、バランス感覚も含めて徐々に大人に近づいてきているのが分かります。クッションとしての役割を果たす土踏まずも形成されるため、歩行関係の動きはだいぶしなやかになるのです。

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手や指の操作については、あることをやりながら同時に他のことをするといった挑戦が始まる時期です。たとえば右手をパーにして左手でチョキを作るとか、左手で紙を押さえて右手に持ったハサミで切り抜くとか、そのような複雑な動きを習得しようとします。

3歳児の心や知識、社会性の発達

生活習慣の形成

基本的な生活習慣の形成が行われるのもこの時期です。衣類の着脱などは2歳児でも可能といえば可能ですが、養育者の手を借りずに行えるようになるのは3歳ごろからのことです(あまりボタンが小さいとさすがに難しいのですが)。食事や排泄による自立が自己の発達を促し、意図を持って行動するなどの主体性を育みます。

豊富な言葉を覚える時期

3歳児になった段階で語彙は1000語程度になるといわれていますが、「おはよう」や「ありがとう」など、人間関係を円滑にするための言葉も使えるようになります。知的関心も高まり、さまざまな物事を知りたがって質問を繰り返すなど、言葉による表現力の著しい向上が見られます。3歳は語彙が最も増える時期です。

社会性の発達、人間関係の理解

他の子どもたちとの遊びはまだ並行遊びの段階にとどまっている可能性が高いのですが、模倣遊びも行いますし、成長の早い子なら他の子と一緒に遊ぶこともさほど珍しくありません。おもちゃを取り合っての喧嘩やルールの遵守を通じて徐々に協調性社会性を育んでいきます。

社会性といえば、自我の拡張にともなって次第に「自分」の認識ができてくるのですが、ごっこ遊びや絵本の読み聞かせを通して自分と親・友達・先生などの人間関係が理解できるようになります。年上や年下といった概念も把握し、年上の人間を真似て年下の人間を導こうとしたり、特定の相手を好きになったりもします。性役割の自認ができるのも3歳ごろのことですね。

弟や妹が生まれることもありますが、その場合、どちらかといえば可愛がるのではなく嫉妬する感情の方が強くなるようです。ベビーシッターはきちんと「あなたに愛情を注いでいます」というメッセージが伝わるような行動を取りましょう。