Lesson10-2 生後6ヶ月~1歳3ヶ月ごろまでの保育実践

保育のポイント

この時期の最大の特徴は、つたい歩き立つはいはいなどの運動機能が発達していくことです。行動範囲が広がればその分刺激も増えるというわけで、子どもの身体と認識能力がぐっと伸びていく時期であることを考慮してお世話をしましょう。

バランス感覚を養う遊び方

運動能力の発達には平衡感覚が欠かせませんが、これを鍛えるには揺さぶり遊びがおすすめです。

母親が赤ちゃんを抱いてあやしながら、横に揺すっているのを見たことがありませんか? これが揺さぶり遊びです。「横抱きの状態を維持したまま、赤ちゃんと目を合わせながら左右に揺らしてあげる」というもので、赤ちゃんに負担をかけることなく世界がくるくる回る感覚を味わわせられます。さらにひと月も経てば、今度は膝の上に向かい合わせで座らせて上下に揺らす遊びを取り入れてみましょう。

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安定してお座りができるようになれば、ハンモックのようにタオルケットに乗せて左右にぶらぶら揺らしてみるのも良いでしょう。赤ちゃんからすればちょっとした遊園地気分が味わえるうえに、比較的安全にバランス感覚を養えます。

お座りを覚える

生後9ヶ月頃も経つと、両手を床から離してお座りができるようになります。

どうも座るときの視界の変化が面白いらしく、いちど覚えると頻繁にお座りをするようになります。ただ、転倒する危険とも隣り合わせですので、立ち直るための動きを練習させる必要があるでしょう。敷布団を丸めた丸太状のクッションにまたがる、ボールのたくさん入ったプールで遊ぶなど、怪我をしないように注意しながら「足場の不安定な状態」を作り、練習してもらいます。

生後10ヶ月ごろには筋力も発達し、確実にではありませんが、立ったままバランスを取れるようになります。そこで、子どもがつかまることの出来る台、押して歩くことの出来る手押し車のようなものを用意してあげましょう。歩くための筋力トレーニングやバランス感覚の養成を遊びの中に取り入れるのは、子どもにとっても楽しく養育者にとっては工夫しがいのあることです。

人との関わり

人見知りが始まるのもこの時期です。ベビーシッターとしてクライアントのご家庭を訪れたとき、子どもがこの時期でしたら、人見知りの対象になってしまうかもしれません。そんな時にも安心できる相手として認めてもらえるよう、赤ちゃんと積極的にコミュニケーションを取りましょう。

基本的にはLesson9で学んだように、赤ちゃん側からの問いかけにきちんと言葉で応じてあげるというのが一番の近道です。子どもからすれば、あなたは「自分の要求に応じてくれる」人になりますので、少しずつではありますが打ち解けてくれるようになります。

このときに使う言葉についてですが、実は赤ちゃん言葉を使ったほうが何倍も語彙力が豊富になるという調査結果があります。大人向けの高度な語彙は大人同士の会話から学び、大人と子どもとの会話ではコミュニケーションの楽しさを重視する方が吸収率が良いのかもしれませんね。

言葉の発達に伴い、身体のほうも言葉に釣られて反応をするようになります。その代表例が指差しで、生後半年頃の赤ちゃんは養育者に釣られて手を出す、という程度の反応しか示しません。しかし生後8ヶ月ごろには、養育者が指さした方向を見るようになり、やがて10ヶ月ごろには「あっちに行きたい」などの要求を示すために指差しをしたり、面白いものを見つけた喜びを表現するために犬や猫を指さしたりします。

離乳食

離乳食の開始時期は生後半年ごろですが、この頃はまだうまく嚥下ができるとは限りませんから、ゆっくりとペースト状のものや潰したおかゆを中心に食べさせていくことになるかと思います。離乳食開始の目安としては、

  • しっかりと首がすわる
  • 養育者に支えられて座れる
  • 食べ物にも興味を示すようになる
  • スプーンを口に入れても舌で押し出す傾向が控えめになる

などが挙げられるでしょう。

最初は離乳食も1日1回だけで、授乳が中心となります。しかし生後7~8ヶ月頃になり、乳歯が生え始めると、離乳食を1日2回に増やしていきます。この段階では舌でつぶせる程度の固さの離乳食を与え、舌と顎で食べ物を潰すことを覚えさせましょう。ただし、母乳やミルクも離乳食を食べた後にきちんと与えなければなりません。

生後9~11ヶ月頃でしたら、もう奥の歯茎で食事を潰せるようになりますので、離乳食も1日3回ほど与えるようにします。ご飯はまだ早いですが、おかゆから柔らかく炊いたお米に徐々にシフトしていくのはこの時期です。生後1年も経てばミルクはもう状況に応じて与える程度で、ご飯に肉、豆腐、魚、乳製品を加えた離乳食が食事の中心になります。