Lesson10-1 生後6ヶ月~1歳3ヶ月ごろまでの発達過程

周りのものに興味関心を示し始める時期

生後半年から1歳3ヶ月ごろまでの期間は乳児期の後半にあたり、様々な運動器官が発達するにしたがって、周囲の人・物に興味を示し探索活動が活発になる時期でもあります。

前々回のLesson同様に、まずはこの時期の発達の様子を見ていきましょう。

生後6ヶ月~1歳3ヶ月ごろの発達過程

体の発達

生後6ヶ月の子どもは脳の重さが出生時のおよそ2倍となり、上半身の筋肉や脳も発達し、随意運動が可能になります。乳歯が生え始めるのもこの生後半年ごろですね。

睡眠時間は1日14時間ほどで、午睡の時間も徐々に固定されてきます。生後9ヶ月以降になると、体重はおよそ3倍になります。

ハイハイが出来るころ

生後半年でだいたいの子どもは寝返りを打てるようになり、更に1,2ヶ月も経てばお腹を床につけて腕の力だけで匍匐前進のように進む「ずりばい」と呼ばれる行動を取り始めます。はいはいができるのは一般に生後7~8ヶ月ごろと言われていますから、もうすぐですね。歩けるようになるのは生後1年ごろのことになります。

baby_100101

こうなると赤ちゃんはどんどん自分の好きなところに移動するようになります。元気な姿を見るのは良いものですが、危険なものが置いてある場所にも行きかねません。先端の尖ったもの、ホウ酸団子などの危険物はなるべく赤ちゃんの手の触れない場所に置く、戸棚にしまうなどして対策を取る必要があります。書斎などに迷い込まないように、柵を立てるのも良いかもしれませんね。

手や指先の発達

手や指も大分発達し、生後9ヶ月にもなればおもちゃやティッシュを散らかすようになります。また10ヶ月もすれば「器に物を入れる」「積み木の上に積み木を乗せる」など、ちょっと凝った行動も取れるようになります。

かつてフレーベルが幼児教育の一環として導入した知育玩具・積み木をきちんと使えるようになるのはもう少し後の話ですが、実際に目の当たりにすると「手先が器用になった」と驚かれることと思います。生後1年も過ぎれば子ども用のフォークやスプーンを使って自分で食事ができるようになります。離乳食にも挑戦する時期ですので、子どもでも握りやすいものや食器を用意しておきましょう。

生理機能と五感・言語

早い子ならば生後半年のこのころから尿意を、生後1年ごろから便意を自覚できるようになります。トイレトレーニングを始める時期はもう少し後になりますが、もし子どもが便意を訴えるようになれば、トイレに連れて行ってあげたり、急いでオムツを取り替えたりしてあげましょう。

味覚は生後3ヶ月~5ヶ月ごろに発達し始めており、このころにはもう敏感になっています。聴覚についても優れた発達が見られ、母親や養育者の声に反応したり、指差す先に注目する行動(ジョイントアテンション)も取れるようになります。生後1歳を過ぎれば大人の話している単語を聞いて「音」ではなく「言葉」として理解できるようになるでしょう。

意味のある言葉を発するのは生後10ヶ月ごろのことになります。それ以前から喃語の繰り返しなどは発声できるようになっていますから、もし「なんなんなん」「だっだっだっ」などと反復的に声を出せるようになったら、初語も近いと考えていいでしょう。

社会性

社会性に目を向けると、人見知りを覚え始める時期です。

この時期の子どもは怖い相手から逃げたい気持ちとより近づきたい気持ちの板ばさみになり、見知らぬ他人に対してはひどく臆病な態度を取ります。まだ養育者を中心に、少しずつ行動範囲を広げていく段階ですから、落ち着いて構えていればよいでしょう。