Lesson7-4 子どもの疾病

子どもの疾病

『家庭の医学』などの本を紐解けば、子どものかかりやすい疾病がたくさん載っていますね。免疫がまだ充分に発達しておらず、自分では充分に健康管理できない子どもは、非常に疾病にかかりやすいのです。ここではその重要なものについてざっと紹介していきましょう。

感染症

感染とは、細菌ウイルスなどの病原菌が宿主の体内に侵入して増え続ける状態のことをいいます。これによって引き起こされる疾病を感染症と呼び、代表的なものにインフルエンザなどがあります。

感染経路は、接触感染、飛沫感染、経口感染、垂直感染、血液感染など、病原菌と触れる、口にする、母体から直接受け取るなど様々ですが、ベビーシッターが取れる対策としては、汚いものと接触させない、悪いものを食べさせない、感染者を遠ざける、くらいのものでしょうか。手洗い、うがい、マスクを着用する、吐瀉物に素手で触らないなどの工夫も大事です。

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かつて予防接種は義務的に受けなければならないものでしたが、1994年に勧奨摂取となって少し状況が変わってしまいました。子どもがジフテリアや発疹風疹、結核、日本脳炎などの予防接種を受けて対策をしているかどうかは、クライアントにきちんと尋ねる必要があるでしょう。

主な疾病

胃腸炎、消化不良症、アレルギー疾患など、感染症以外にも様々な疾病が発生します。それぞれの特徴を見ていきましょう。

中耳炎

病原体が鼓膜の内側の中耳に達し、炎症を引き起こします。症状が重い場合は鼓膜を切開して患部から膿を吸い出す必要がありますが、抗生物質の投与でよくなる場合がほとんどです。耳を引っ張るときに痛がるかどうかが判断の目安です。

腸重積症

生後5~9ヶ月ほどの発育の良い乳児に起こりやすい危険な疾病です。腸が二重三重に折り重なってしまい、重なった部分が壊死してしまう恐れがあり、発症から12時間以内に病院へ行かなければ大事になりかねません。症状としては定期的な腹痛や嘔吐、血便などがあり、重なった部分がしこりとなっているためお腹の上から触れば分かります。

胃腸炎、消化不良症

下痢、食欲不振、嘔吐、発熱などの症状を伴います。基本的には食事療法で治りますが、ウイルス性のものであったり脱水から来ている場合は異なる治療法を用いる必要があります。

気管支喘息

最近の調査ではおよそ6%の子どもがかかる疾病になっています。アレルギー性の疾病であり、気管支が痙攣して狭くなり、喉の痛みや呼吸困難に襲われ、激しく咳き込んでしまいます。部屋を清潔にしてアレルゲン(ほこり、ダニなど)を除去する、気管支を拡張する薬を使うなどで対策を打ちます。

乳幼児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome、SIDS)

それまで元気だった赤ちゃんが事故や窒息とは無関係に突然死してしまう病気です。原因は現在もまだ解明されておらず、うつ伏せ寝や両親の喫煙人工的な栄養などがリスク要因として挙げられています。

アトピー性皮膚炎

かゆみのある発疹が出たり治ったりを繰り返します。もともとアレルギーを起こしやすい体質の子ども、皮膚の弱い子どもに起こりやすい疾病ですが、最近では大人になってから発症する人も多いようです。ストレスやが原因になることも多く、なるべく清潔にしてあげることで予防できます。

食物アレルギー

特定の食品を食べた後に様々な症状が出てしまう疾病です。乳製品小麦そばなどが有名ですが、アレルゲンとなる食品を事前に病院で検査して、しっかりと把握しておく必要があります。アナフィラキシーは死に至る可能性が少なからずありますので、好き嫌いの問題ではないということを理解しておきましょう。

白血病

子どもの悪性新生物の中で最も多いのがこの白血病です。血液細胞が作られる過程で癌化して白血球細胞が増殖していく病気であり、正常な血液が出来なくなることで貧血などの症状を引き起こします。抗癌剤や分子標的薬の投与によって、現代ではかなりの確率で寛解まで持っていけるようになりました。

先天性甲状腺機能低下症

生まれつき甲状腺ホルモンが少ないと、身長の伸びが悪くなるなどの様々な病気が引き起こされ、放置した場合は精神遅滞低身長症などに発展します。内服剤による治療が可能です。

生後4~7日に新生児の先天的な病気を発見するためにマス・スクリーニング検査が行われますが、その際にチェックする6つの疾病に含まれます。(現代はタンデムマス法という新しい検査法により、約20種の疾患を検査することも可能)

他に調べるのはフェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症、副腎皮質過形成症です。甲状腺機能低下症は、この中では比較的治療しやすい方に入ります。

糖尿病

Ⅰ型Ⅱ型の2種類があります。子どもに多いのは膵臓のβ細胞が壊れてインスリンが分泌されなくなるⅠ型の糖尿病で、インスリンを注射などで投与しなければなりません。現在の医学では完治しない病気ですが、将来的には治る可能性があります。もしⅠ型糖尿病の子どもの世話をする場合は、きちんと毎日適切な量のインスリンを注射しているか、ちゃんと見てあげる必要があるでしょう。

上記のもの以外にも、子どもは様々な疾病にかかります。次のLessonでは、症状別の対策を細かく見ていくことにしましょう。