保健活動
子どもの生命の保持、情緒の安定は保育の重大な指針であり、わたしたちは一人ひとりの子どもについて、そして子どもという集団全体の健康と安全の確保に努めねばなりません。そのためには日々の健康観察や定期的な健康診断は欠かせません。
しかし、健康とは何なのでしょうか? 1948年にWHOが定めた定義によれば、健康とは「肉体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病でないとか虚弱でないということではない」と定義しています。WHOは1986年にもヘルスプロモーションという概念――人々が自らの健康をコントロールし、改善できるようにする過程(プロセス)――を提唱していますが、この考え方を様々な対策に取り入れることでWHOは健康水準の向上を図っています。
日本でも健康づくりのための施策として2000年には「健康日本21」が、2012年には「健康日本21(第二次)」が策定され、生活習慣病を中心とする9つの分野における健康づくりのための基本方針を定め、現状と対策についてまとめています。ちなみにここで挙げられている9つの分野とは「栄養・食生活、身体活動と運動、休養・こころの健康づくり、たばこ、アルコール、歯の健康、糖尿病、循環器病、がん」のことです。また、WHOのヘルスプロモーションを念頭に置いたものとして、2000年には「健やか親子21」という親子間の健康に関する施策が打ち出されました。
健康の指標
このような施策を打ち出せるのは、指標を決めて具体的な数値目標を掲げているためです。たとえば、人口動態統計から人口の動きを把握して作り上げたのが以下のような社会的指標です。
- 出生率
- 合計特殊出生率
- 乳児死亡率
- 新生児死亡率
- 周産期死亡率
- 死産率
出生数の増減や死亡理由を細かく見ていけば、医療や健康増進のための対策も立てやすいものです。ちなみに小児の死亡理由としてポピュラーなものをあげると、0歳から就学前の児童の死因で最もメジャーなものは、「先天奇形、変形及び染色体異常」で、他にも「呼吸障害」「不慮の事故」「悪性新生物」などが上位に来ています。